ピロリ菌とは?
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に定着しやすい細菌で、慢性胃炎、胃潰瘍、さらには胃がんのリスク因子としても知られています。
この菌は特異な構造により、強い酸性の環境である胃の中でも生存でき、長期間にわたって感染したままの状態を保つことができます。また、ピロリ菌感染者は非感染者に比べて胃炎が進行しやすく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発生率が高まることが確認されています。
ピロリ菌の感染が確認された場合、早期の除菌治療によってこれらの病気のリスクを軽減し、胃の健康を維持することが大切です。
ピロリ菌感染の症状チェック
ピロリ菌に感染している場合でも、多くの人は初期段階で自覚症状がないことが多いですが、感染が続くと以下のような症状が現れることがあります。
慢性的な胃痛や不快感
胃のあたりに鈍い痛みを感じることがあります。
食欲不振
食事に対して興味が薄れることがあります。
体重減少
食欲不振による影響で体重が減少する場合もあります。
ピロリ菌の感染経路は
どこから?原因について
ピロリ菌の感染経路は完全には分かっていませんが、主に家庭内での接触により広がるとされており、特に以下のような経路から感染することが多いです。
口腔感染
家族間での食器の共有や親から子への唾液接触(例:口移しでの食事)が原因で感染することが多いです。
糞口感染
不衛生な水や食べ物を介して感染する可能性もあります。衛生環境が整っていなかった時代に感染が広がり、多くの人が幼少期に感染していたと考えられています。
家庭内での感染リスクを減らすために、特に小さな子供がいる家庭では衛生管理が重要です。また、感染が確認された場合は、家族全員が検査を受けることも考慮すべきでしょう。
ピロリ菌検査について
ピロリ菌の有無を確認するためには、以下のような方法で簡便に検査が可能です。
尿素呼気試験
特別な試薬を飲み、呼気に含まれる尿素分解物質を調べる検査です。非侵襲的で簡便なため、一般的に多く用いられています。
便中抗原検査
便の中に含まれるピロリ菌抗原を確認する方法で、感染の有無が高い精度でわかります。
内視鏡検査
胃カメラを用いて直接胃粘膜を観察し、必要に応じて胃粘膜の一部を採取することでピロリ菌を確認します。この方法は精度が高く、ピロリ菌感染のほかにも胃の状態を確認できるため、症状がある場合には有効です。
ピロリ菌の除菌治療について
ピロリ菌の除菌治療は、主に抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬を組み合わせた方法で行われます。除菌治療は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発リスクを大幅に下げ、胃がんの予防効果も期待されています。治療期間は約1~2週間で、治療終了後に再検査を行い、ピロリ菌が完全に除去されたかを確認します。
除菌治療の副作用について
治療に使われる抗生物質により、一部の方に下痢や軟便、軽い胃腸の不調が生じることがありますが、通常は治療終了後に自然に治まります。副作用が強く出る場合は、お早めにご相談ください。
除菌治療のメリット
ピロリ菌の除菌によって、胃の健康が保たれ、胃がんや消化器の慢性的な病気のリスクを減らすことができます。症状が軽度であっても、リスク低減のために治療を検討する価値があります。
ピロリ菌に関する
よくある質問
ピロリ菌はうつりますか?
ピロリ菌は主に家族内での接触や口腔を介した感染が多いです。特に幼少期の感染が一般的で、家族内での衛生管理が重要です。小さなお子様がいる家庭では、食器の共有を避けるなどの対策が推奨されます。
ピロリ菌に感染するとおならがよく出るようになる?
ピロリ菌感染が原因で胃の消化機能が低下し、ガスがたまりやすくなる場合があります。消化不良によって腸内で発生するガスが増え、げっぷやおならが多くなることがありますが、除菌治療後にこれらの症状が改善されるケースもあります。
ピロリ菌の除菌後、体調の変化はありますか?
ピロリ菌の除菌後は、多くの方に(体調の改善や)胃腸の変化がみられます。まず、除菌により胃の粘膜への刺激が減少し、胃炎や胃潰瘍による不快感が軽減されることで、胃の調子が改善し、食欲が戻ることがあります。また、ピロリ菌は胃酸の分泌に影響を与えるため、除菌によって胃酸の分泌が正常に戻り、消化機能が向上し、食後の胃もたれや消化不良が改善される傾向も見られます。抗生物質の影響で一時的に腸内環境が乱れ、下痢や軟便が生じることがありますが、通常は数週間で腸内環境も安定します。
ピロリ菌は除菌しないほうがいい?
ピロリ菌の除菌治療は胃がんや胃潰瘍の予防に効果があるとされています。しかし、副作用が気になる方や感染が見られない軽度の症状の場合は、医師と相談のうえ除菌の要否を決定することが重要です。ただし、一般的には感染が確認された場合、除菌を行うことが推奨されています。